輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,820 字 · 54 頁

青空文庫

そのとき人々は燃えつつある火焔の中に意外な人の姿を見た。

それは、まさしく八十三歳の多久家の当主、駒守であったに相違ない。岩のような巨体に、覆面をおろして、火焔の中に身動きもせず立っている。生き不動のように。

別館に居るべき筈のない駒守である。すると、駒守に似ているが、あれこそ風守なのであろうか。血をひく孫であり、同じ覆面であるから似ているのは当然かも知れない。誰にも姿を見せたことのない風守だから、人々は判断に迷った。

「大殿さま。早く、早く、逃げて」

人々は狂ったように叫んでいる風守の侍女政乃の声に気がついた。風守をよく知る政乃が大殿さま、と呼びかけているのだ。まさしくそれは別館にすむ孫ではなくて、当主駒守に相違なかった、どうして彼が別館の中にいるのだろう。彼はなぜ逃げようとしないのだろう。

火事がさらに一時にひらめいてすべてをつつんだ。身動きもせず立ったまま、駒守の姿は火焔の中に没したのである。

別館を焼きつくして、火は消えた。消防がおくれて、完全燃焼の自然鎮火にちかかったから、焼死した人の姿は白骨の細さにちかい黒コゲとなって発見された。まさしく二ツの屍体が現れたのである。