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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 42,950 字 · 85 頁
「兄上は死にました」
克子はむせびつつ叫んだ。
「おイノチに別状はありませんが、兄上はもはやこの世のお方ではございません。人々が精神病院の一室へ押しこめてしまったのです。兄上のお姿は再びこの世で見ることができませぬ」
克子が病床へ駈けつけて以来、次第に常態に復しつつあるかに見えた宗久は、意外にも妹の眼前で精神病院へ拉し去られた。彼女が立会人であるかのように。
その朝、通太郎が辞去するときは、宗久はまどろんでいた。そのかなり安らかな眠りを見すまして、克子ははじめて一夜つめきった兄の枕頭をはなれて、待ちかねていた一同に好転しつつあるやに見える一夜の経過を報告した。目をさますたび、昼夜にかかわりなく起りがちだった病人の発作は、その一夜中起らなかった。
克子が兄の病床へ駈けつけたときは、兄は妹の顔を見ても、その現実と幻想との区別がつかない状態だった。しかるにその一夜のうちに、妹に関する限りは幻想は去り、いつの目覚めにも変りなく枕頭に侍っている妹を見ては、予期したことを確かめて安らぎを覚えるようであった。
「そのへんへフトンをしいて、お前も、もうやすんでは……」