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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 42,950 字 · 85 頁

青空文庫

なぜなら、思いがけない影が目を掠めて走ったような唐突きわまる一瞬の変化が、アッと思うヒマもなく起って、終っていたからであった。

克子の目が見たものは、こうであった。その時までの兄の姿勢は、意外きわまる物を見出した人が内心の混乱と争いつつ必死にそれを見まもる時の姿勢のように、あるいは恐怖のあまりそれに飛びかかる寸前の姿勢のように、両手を胸の両脇にシッカとちぢめて小腰をかがめて、そして、ふるえはじめているのであった。と、その一瞬に、胸の両脇にちぢまっていた両手が、そして、ちぢまったままふるえる以外にはどうしようもないように見えていたその両手が、にわかにパッとひらいて各々天の方向に延びきったように思われた。

それはその両手の手首につけておいた操り人形のヒモを、その一瞬に誰かがヤケに引っぱりあげた結果に起った突然の動作のように見えた。まったくそのような一瞬間のハジカれた動きであった。にわかに両の手がパッとひらいて天へ延びると同時に、それにつれてちぢんでいた両足もいくらかは延びたものか、もしくはいくらか飛びあがったのかも知れない。人々は宗久の手も足も全部の動きを捉えることはとても出来なかったのである。