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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,829 字 · 45 頁

青空文庫

天王会の本殿境内で唯一の異端者は彼であり、彼は天王会を目の敵にしていた。

さて、月田銀行頭取全作の妻まち子(当年二十七)は山賀侯爵夫人かず子の妹であった。姉妹は深堀伯爵家の生れであるが、深堀家は暦日天地の陰陽吉凶の卦を司る家柄で、風雨を意のままにするところから天神の怒りをうけて、代々男児は白痴に生れ、女児は非常に美人であるが、これをめとる者の家に凶事をもたらすと伝えられている。その伝えの如くに姉妹は絶世の美女で、姉は婚家の産を破り、妹は殺害せらるるに至った。

十一月十一日は赤裂地神を祭る天王会の祭日で、本殿は一日ごった返していた。月田家の車夫竹蔵は本殿の門の脇に車をよせてまち子の帰りを待っていたが、いつか本殿の物音はしずまり夜は更けて人の気配もなくなったのに、まち子の姿が現れない。たまりかねて本殿の玄関番にきいてみると、もうとッくにお帰りだぜ、という返事。それでは多くの人の往来にまぎれて主人の姿に気がつかなかったのかと慌てて主家へ戻った。女中にきいてみると、さア、お帰りのようではないが、という話。そのときはもう午前二時であった。

翌朝、月田家の庭木戸の外の路上に、ノド笛をくいきられ、帯をといて着物をはがれ腹をさかれて肝臓をとられたまち子の死体がころがっていた。