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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,951 字 · 51 頁

青空文庫

降下の途中は暗黒だが、底につくと、明るくなる。その辺が彼らの仕事の地点で、うすく白砂に覆われた砂原が点在し、白蝶貝の巨大なのが、いたる所に皿を立てているのであった。

四名は、一団にかたまりつつ、四時間ほども海底を潜りつづけた。二人の海女が海面へ浮上して一息つくたびに、昇龍丸の水夫たちはカタズをのんでその顔だけの女を睨みつづけていた。五百米も離れている。その顔は白い鉢巻がそれと分るぐらいにすぎないが、彼らにとっては数々の幻想のくめどもつきぬ泉であった。

その彼女らを水夫にも劣らぬ情炎をこめて飽かず眺めていたのは今村であった。彼とてもまだ三十の青年だった。通辞といえば、その職業柄、そう堅くもない生活に通じ易いものではあるが、彼はこのように魅力の深い女の姿を日本に於て見ることは有りうべからざる夢のような気がしたのだ。夢想に縁遠い彼であったが、これが竜宮であろうか、あれは妖精であろうかとふと考えて見た。しかしそれは自分の心を偽るための見せかけだった。彼は余りにも強烈な慾情を自覚したくなかったのだ。彼は五十嵐や大和にも増して、色情に飢えた狼であった。

潜水夫たちは上ってきた。