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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,951 字 · 51 頁
大和はしばらく考えていたが、やがて今村を指した。
「お前は、あの部屋をでろ。そして、みんなと雑居しろ。どうも、なじめねえ野郎だ。船乗りの気持は分るが、貴様が何を考えているか、その気持だけは、てんで見当がつかねえや。貴様があの部屋にトグロをまいていちゃア、助平どもの気が荒れていけねえ」
「そうだとも。そうしろ」
何名の者かが口々に和した。それが一同の同じ気持であったのである。今村も仕方がなかった。大和にせきたてられて、即座に荷物をまとめ、雑居室へ移らざるを得なかった。
全てそれらの事どもに馬耳東風だったのは、キンと清松であった。キンは良人が死んだために。しかし、清松はなぜだろう。まったく彼は死神が乗り移ってしまったように陰鬱であった。潜水病のためもある。しかし潜水病の原因をなした願望こそは、彼に死神の陰鬱を与えているのに相違ない。三〇〇グレーンの黒真珠も、五三〇グレーンの白銀の真珠も、失われてしまったのである。そして、船はすでに北へ北へ走っている。再び真珠を採る機会も失われてしまったのだ。
根気を失わないのは、大和であった。彼は毎日船内を探した。人々の挙動を探っていた。