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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,134 字 · 43 頁

青空文庫

メカケを入れて本妻に出て行けという話はきいたことがないね。本妻が出て行かなきゃアならないものか、出るところへ出て、キマリをつけておくれ」

一力は物に臆さぬ剛気の丈夫であるが、男の顔が立つか立たないか、という不文律のサバキとちがって、法律のサバキは手に負えない。出るところへ出るサバキなんざア、ベラボーめ、男の知ったことか、と威張り返って済む話ではないから、こう言われると、さすがの親方も二の句がつづかぬのである。

たのむ一力もむなしく撃退される始末であるから、正二郎の落胆、悩みは測りがたいものがあった。

その時、正二郎をそッと訪ねて、耳もとでささやいたがはお龍婆さんであった。

「私しゃアね。旦那。差出がましいことですが、心配で仕様がないから、それとなく法律の先生にきいてきたのですよ。あのアバズレどもを追ンだす術がたッた一ツあるんですとさ。旦那はあのアバズレと結婚前に、お久美様という正式の奥方がおありではありませんか。歴とした旗本御夫婦。それが正式の御夫婦ですよ。それをタテにとれば、お米だのお源なんぞ追いだすのはワケはありゃアしませんとさ。その代り、旦那もお久美さんも二重結婚とやらの罪をきるそうですが、御一新のドサクサの際ですもの、夫婦は遠く離れてお互に生死も分らぬ非常の際、それはお上が察して下さるそうですよ。