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しゅんちゅう 

春昼・春昼後刻

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《春昼・春昼後刻(しゅんちゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,079 字 · 102 頁

青空文庫

後馳せに散策子は袂へ手を突込んで、

「細いのならありますよ。」

「否、可うござんすよ、さあ、兄や、行って来な。」

撥を片手で引つかむと、恐る恐る差出した手を素疾く引込め、とさかをはらりと振って行く。

「さあ、お前こっちへおいで、」

小さな方を膝許へ。

きょとんとして、ものも言わず、棒を呑んだ人形のような顔を、凝と見て、

「幾歳なの、」

「八歳でごぜえス。」

「母さんはないの、」

「角兵衛に、そんなものがあるもんか。」

「お前は知らないでもね、母様の方は知ってるかも知れないよ、」

と衝と手を袴越に白くかける、とぐいと引寄せて、横抱きに抱くと、獅子頭はばくりと仰向けに地を払って、草鞋は高く反った。鶏の羽の飾には、椰子の葉を吹く風が渡る。

「貴下、」

と落着いて見返って、

「私の児かも知れないんですよ。」

トタンに、つるりと腕を辷って、獅子は、倒にトンと返って、ぶるぶると身体をふったが、けろりとして突立った。

「えへへへへへ、」

此処へ勢よく兄獅子が引返して、

「頂いたい、頂いたい。」

二つばかり天窓を掉ったが、小さい方の背中を突いて、テンとまた撥を当てる。

「可いよ、そんなことをしなくっても、」