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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《春昼・春昼後刻(しゅんちゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,079 字 · 102 頁
また一面から見れば、門附が談話の中に、神田辺の店で、江戸紫の夜あけがた、小僧が門を掃いている、納豆の声がした……のは、その人が生涯の東雲頃であったかも知れぬ。――やがて暴風雨となったが――
とにかく、(ことづけ)はどうなろう。玉脇の妻は、以て未来の有無を占おうとしたらしかったに――頭陀袋にも納めず、帯にもつけず、袂にも入れず、角兵衛がその獅子頭の中に、封じて去ったのも気懸りになる。為替してきらめくものを掴ませて、のッつ反ッつの苦患を見せない、上花主のために、商売冥利、随一大切な処へ、偶然受取って行ったのであろうけれども。
あれがもし、鳥にでも攫われたら、思う人は虚空にあり、と信じて、夫人は羽化して飛ぶであろうか。いやいや羊が食うまでも、角兵衛は再び引返してその音信は伝えまい。
従って砂を崩せば、従って手にたまった、色々の貝殻にフト目を留めて、
君とまたみる目おひせば四方の海の……
と我にもあらず口ずさんだ。
更に答えぬ。
もしまたうつせ貝が、大いなる水の心を語り得るなら、渚に敷いた、いささ貝の花吹雪は、いつも私語を絶えせぬだろうに。されば幼児が拾っても、われらが砂から掘り出しても、このものいわぬは同一である。