輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

きのう・きょう・あす

昨日・今日・明日

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《昨日・今日・明日(きのう・きょう・あす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,018 字 · 24 頁

青空文庫

そして、この太鼓打ちの運動で腹の工合が良くなるのか、彼は馬のようにくらった。鯨のように飲んだのは勿論である。

もっとも、彼は部下の余興を見なければ、酒が咽へ通らないという奇病を持っていたから、その鯨のような飲酒欲を満足させるためには、兵隊たちは常に自分の隠し芸をそれぞれストックして置く必要があった。

余興の中で、隊長を喜ばせるのは、何といってもまず浪花節であった。

「浪花節をやれ、浪花節だ。浪花節をやらんか。何ッ? やれない。貴様のような奴は兵隊の屑だぞ!」

そして、隊長は浪花節はおろか何一つ隠し芸のない彼の所謂「兵隊の屑」には、

「何にも出来んけりゃ、逆立ちして歩いてみろ!」

と、命じたが、彼に言わせると、

「浪花節は上手な程よろしい。逆立ちは下手な程よろしい」

隊で逆立ちの一番下手なのは、大学出の白崎恭助一等兵だったから、白崎は落語家出身で浪花節の巧い赤井新次一等兵と共に、常に隊長の酒の肴になっていた。

おかげで、白崎は大学で覚えたことをすっかり忘れてしまうくらい、毎日逆立ちをやらされ、赤井は本職の落語を忘れてしまうくらい、毎日浪花節を唸らされて、いわば隊長の肴になるために、応召したようなものであった。