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しょうわのじゅうよねんかん
昭和の十四年間
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《昭和の十四年間(しょうわのじゅうよねんかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 35,356 字 · 69 頁
文学がその作家の文学的性格の強靭さの故によるというよりは寧ろ、世間を渡る肺活量の大きさで物をいうという現象は、文化と文学のこととして何と解釈され、何と反省されなければならないことであるのだろうか。
文学に人間を再生させようという地味だが本質的な要求は、次第に明確に作家たちの間に湧きおこった。短篇小説の再評価の問題もその要求に連関するものとして、考えられると思う。短篇小説が私小説の系統に立って、作者の身辺些事の描写や、狭く小さく纏った雰囲気、心境をその世界として来ていたということに対して、嘗ての不満は表明された。現代の日々は、そういう独善の文学的境地というものの成り立ちを不可能にしている。文学はもっと社会的にその世界をひろげ豊かにしなければならないという要求から、長篇や社会小説が求められたのであった。その要求は一つの必然に立つものではあったが、さきに細々とふれて来たように、その出発の一歩で、文学としての自主性を失ったことから、結果としては小説から人間が退場させられるという光景を来した。作者は作品に対する自己のモティーヴなどに心を煩わされることなく、書けないという往年の作家たちの悩みなどは無縁な心情で、対象への愛や凝視に筆足を止められず、書くという状態になった。