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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 47,663 字 · 97 頁
きょうは朝からちっとも風のない日で、暮春の空は碧い玉を磨いたように晴れかがやいていた。
火の見櫓の上には鳶が眠ったように止まっていた。少し汗ばんでいる馬を急がせてゆく、遠乗りらしい若侍の陣笠のひさしにも、もう夏らしい光りがきらきらと光っていた。
小幡が菩提所の浄円寺は、かなりに大きい寺であった。門をはいると、山吹が一ぱいに咲いているのが目についた。ふたりは住職に逢った。
住職は四十前後で、色の白い、髯のあとの青い人であった。客の一人は侍、一人は御用聞きというので、住職も疎略に扱わなかった。
ここへ来る途中で、二人は十分に打合わせをしてあるので、おじさんは先ず口を切って、小幡の屋敷にはこの頃怪しいことがあると云った。奥さんの枕もとに女の幽霊が出ると話した。そうして、その幽霊を退散させるために何か加持祈祷のすべはあるまいかと相談した。
住職は黙って聴いていた。
「して、それは殿さま奥さまのお頼みでござりまするか。又あなた方の御相談でござりまするか」
と、住職は数珠を爪繰りながら不安らしく訊いた。
「それはいずれでもよろしい。とにかく御承知下さるか、どうでしょう」