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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁
「どうぞこちらへ……」
悔みに来たと思いのほか、男はつかつかと内へはいって、六畳の隅に横たえてある若い大工の死体をながめた。彼は忌々しそうに舌打ちした。
「畜生、運のいい野郎だ」
コロリで死んで運がいいとは何事かと、一座の人々はおどろいた。いずれも呆気に取られたように男の顔を見つめていると、その疑いを解くように彼は説明した。
今から四日前の晩に、湯島天神下の早桶屋伊太郎が何者にか殺された。前にも云う通り、このごろはコロリの死人が多いので、どこの早桶屋も棺を作るのに忙がしく、自分たちの手では間に合わないので、大工や桶屋などを臨時に雇い入れて手伝わせた。一人前の職人は棺桶などを作ることを嫌ったが、腕のにぶい者や若い者は手間賃の高いのを喜んで、方々の早桶屋へ手伝いに行った。ここの家の年造もその一人で、先日から彼の伊太郎の店に働いていたのである。
伊太郎が何者にか殺されたのは、その金に眼をつけたものと認められた。早桶屋に取っては、疫病神は福の神で、商売繁昌のために伊太郎は意外の金儲けをした。それが禍いとなって、伊太郎は殺され、女房は傷を負った。詮議の末に、その盗賊の疑いは雇い大工の年造にかかって、召し捕りに来て見ると此の始末である。