輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

こういう空屋敷には怪談が付き物で、殺された手代の幽霊が出るとか、鬼火が燃えるとかいう噂がある。その化け物屋敷の前を、ゆうべ近所の者が通りかかると、屋敷の奥で女の泣き声が微かにきこえたので、それを聞いた者は蒼くなって逃げ出したと云うのであった。

「ゆうべの何どきだね」

「まだ五ツ(午後八時)を少し過ぎた頃だそうですが、ここらは何分にも寂しゅうございますので……」

「いくら日が詰まっても、幽霊の出ようがちっと早いね」と、半七は笑った。「その屋敷はよっぽど前から空いているのかね」

「もう三年ぐらいになりましょう」

「屋敷のなかは荒れているだろう」

「ええ、もう、荒れ放題で、家は毀れる。庭には草が蓬々と生えている。あんな無気味な屋敷は早く立ち腐れになってしまえばいいと、近所でもうわさをして居ります」

「そうだ。幽霊に貸して置いたのじゃあ店賃も取れず、早く毀れてしまった方がいいな」

半七は茶代を置いて烏茶屋を出ると、この頃の日はもう傾きかかって、何処からか飛んで来る落葉がばらばらと顔を撲った。半七は肩をすくめながら歩いた。女房に教えられた化け物屋敷の前に立つと、もとより小さい御家人の住居であるから、屋敷といっても恐らく五間か六間ぐらいであろうと思われる古家で、表の門はもう傾いていた。