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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

「だが、羊羹を持っているところを見ると、成田へは行ったのだろう」

「そう云わなけりゃあ家を出られねえから、柄にもねえ信心参りなぞに出かけたに違げえねえ。あの狢野郎、途中で連れに別れたなんて云うのは嘘の皮で、始めから自分ひとりですよ」

「まあ、そう妬くなよ」

「妬くわけじゃあねえが、あいつは方々の屋敷へいい加減ないか物をかつぎ込んで、あこぎな銭もうけをするという噂で、道具屋仲間でも泥棒のように云われている奴ですからね」

善八にさんざん罵倒されているのも知らずに、才兵衛は宇兵衛夫婦を相手に、今ごろ何を掛け合っているかと半七は考えた。

五

嘉永六年の冬は暮れて、明くる年の七年の春が来た。歴史の上では安政元年と云うが、その年号が安政と改まったのは十二月五日のことであるから、その当時の人はやはり嘉永七年と云っていた。この正月は晴天がつづいて、例年よりも暖かであった。

福田の屋敷には伝蔵のほかに、乙吉、鎌吉、幸作という三人の中間があったが、滅亡の後は思い思いに立ち退いて、諸方の武家屋敷に奉公している。その奉公先へ伝蔵が立ち廻るようなことは無いかと、半七は子分に云いつけて絶えず警戒させていたが、彼はどこへも姿を見せなかった。