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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁
その財政の窮乏を補うために、ことしの一月から新吹きの一朱銀を発行したので、俗にこれをお台場と呼んだ。もちろん急場凌ぎに発行したものであるから、銀の質はすこぶる悪い。台場築造はなかなかの難工事であるので、人足の手間賃も普通より高く、一日一朱という定めで、かのお台場銀を払い渡された。
そのころの流行唄に「死んでしまおか、お台場へ行こか。死ぬにゃ優しだよ、土かつぎ」とある。お台場人足はいい金にもなるが、まかり間違えば海に沈んで命が無い。実に命がけの仕事であると、世間一般に伝えられていた。そのお台場銀を眺めているうちに、半七はふと何事をか思いついた。
「おれは早く帰るから、留守に誰か来たら待たせて置いてくれ」
云い置いて、彼は早々に出て行った。観音堂に参詣して、例の唐蜀黍や青ほおずきの中を通りぬけて、午飯も食わずに急いで帰ると、善八が待っていた。
「早速だが、善八。これからすぐにお台場へ行って、人入れの人足部屋を洗ってくれ。おれも今まで気がつかなかったが、例の伝蔵の奴め、お台場人足のなかにまぎれ込んでいるかも知れねえ。どうで長げえ命はねえ奴だ。このごろ流行る唄じゃあねえが、死ぬにゃ優しだよ土かつぎと度胸を据えて、命がけで荒れえ銭を取って、うめえ酒の一杯も飲んでいるような事がねえとも云えねえ」