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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

「土地の奴らはまあ仕方がないとしても、町役人でも勤める奴らはもう少し眼が明いていそうなものだが……。その腕は現場で斬られたものじゃあねえ、何処からか捨てに来たのか、犬がくわえて来たのか、二つに一つですよ。人間の腕一本を斬ったら、生血がずいぶん出る筈だが、そこらに血の痕なんか碌々残っていやあしません」

「初めにそれを見付けたという常磐津の師匠はどんな女だ」と、半七は訊いた。

「実相寺門前にいる文字吉という女で、わっしがたずねて行ったときには、湯に行ったとか云うので留守でしたが、近所の話じゃあ何でも年は三十四五で、色のあさ黒い、力んだ顔の、容貌は悪くない女だそうで……。浄瑠璃は別にうまいという程でもねえが、なかなか良い弟子があって、ずいぶん遠い所から通って来るのがあるので、場末の師匠にしては内福らしいという噂です」

「文字吉には旦那も亭主もねえのか」と、半七はまた訊いた。

「旦那はあります」と、庄太は答えた。「原宿町の倉田屋という酒屋の亭主だそうですが、文字吉は感心にその旦那ひとりを守っていて、ちっとも浮気らしい事をしねえばかりか、その旦那に遠慮して男の弟子をいっさい取らねえと云うのです。