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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁
藤屋のお房との関係から、半七は先ず鮎川に疑いをかけた。茶屋女などに関係すれば、金につまる。金につまれば何をするか判らない。その推測が適中して、きょうのドンタクに外出を許された彼は、この向島の小料理屋でどこかの侍と密会している。お房の兄の米吉もその間に立って、金銭取引の中継ぎをしているらしい。ここまで判れば、この一件の解決は時間の問題に過ぎないと、半七は多寡をくくってしまったのである。
まだ残っているのは、代地と金杉の押込み一件で、髪を切られた者と、髪を切っている者と、それに何かの関係があるか無いか、その解決は幸次郎の報告を待つのほかはなかった。
それからそれへと考えながら、半七はあき茶屋を出て吾妻橋の方角へ引っ返すと、日ざかりの暑さはいよいよ夏らしくなったので、彼は葉桜の下を択って歩いた。水戸の屋敷の大きい椎の木がもう眼の前に近づいた頃に、堤下の田圃で泥鰌か小鮒をすくっている子供らの声がきこえた。
「やあ、ここに人が死んでいる」
「死んでいるんじゃあない。寝ているんだ」
その声が耳にひびいて、半七は堤の上から覗いてみると、堤の裾の切株に倚りかかって、一人の男が寝ているらしかった。