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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁
要助が格子を閉めて出たあとから、半七もつづいて草履を突っかけて沓脱へ降りて、そっと格子をあけて表を窺うと、今夜はあいにく闇であったが、何者かが足音をぬすんで立ち去るらしかった。
「おい、そこにいるのは誰だ」
声をかければ逃げるのは判っていたが、無言で他人を取り押さえるわけには行かないので、半七は先ず声をかけると、相手は果たして一目散に逃げ出した。その草履の足音が女や子供でなく、若い男であるらしいことを、半七はすぐに覚った。そうして、闇のなかでひそかに笑った。この事件は案外容易に解決すると思ったからである。前にも云う通り、往来の者の出来心では、その手がかりを見付け出すのが面倒であるが、これは菊園にかかり合いのある者に相違ない。番頭がここへ探索を頼みに来たのを知って、その様子を窺いに来たのであろう。よせばいいのに、そんな事をするから足が付くのだと、半七はおかしく思った。
その明くる朝である。半七が茶の間で朝飯を食っていると、入口の格子のあいだから何か投げ込んだような音がきこえた。半七に眼配せをされて、女房のお仙が出てみると、沓脱の土間に一通の封じ文が落ちていた。