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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

「死骸は瓜生さんの娘に相違ないそうですよ」と、彼は小声で云った。

「むむ。あの女たちの様子で判っている」と、吉五郎もうなずいた。「だが、おれの鑑定もまんざら外れたわけじゃあねえ。あの死骸は寺で殺されたんじゃあねえ。自身番の奴が莚をまくったときに、おれもそっと覗いてみたが、死骸の顔にも頸のまわりにも疵らしい痕はなんにも見えなかった。第一、人に殺されたような顔じゃあねえ」

「じゃあ、唯の身投げでしょうか」

「まずそうだろうな。寺で殺された女はほかにある筈だ」と、云いかけて吉五郎は葭簀の外を覗いた。「おい。兼、あすこで源蔵と立ち話をしている中間は、どこの屋敷の奴だか、そっと源蔵に訊いてみろ」

「あい、あい」

兼松は駈け出して行ったが、やがて又引っ返して来た。

「あれは佐藤の屋敷の中間で、鉄造というのだそうです」

「そうか。留がいるといいんだが……」と、吉五郎は舌打ちした。「まあ、いい。おれが直かに当たってみよう。おめえはここに残っていて、検視の来るまで見張っていてくれ」

吉五郎は茶店を出ると、かの中間はまだそこを立ち去らずに、あとからだんだんに集まって来る見物人の顔を、じろじろと眺めていた。