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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

若い娘たちが夜ふかしをして、夜道をあるいて、ふたりが同時に風邪を引いた。――そんなことは一向にめずらしく無いのであるが、それに怪しい蝶の一件が絡んでいるだけに、二人の病気には何かの因縁があるように思われないでもなかった。

「家のお父さまはね」と、お由は又云った。「ああいう人だから、今度のことについて別に嘘だとも本当だとも云わないけれど、わたしはなんだか気になって……。もしやお前が悪くでもなっては大変だと、内々案じていたのだが、この分じゃ仔細も無さそうだ。それにしても、お勝さんの見舞ながらお隣りへ行って、おまえも確かにその蝶々を見たと云うことを、小父さんに話して来なければなるまい。わたしはこれからちょっと行って来ますよ」

お由は有り合わせの菓子折か何かを持って、直ぐに隣りへ出て行った。その留守に、お北は妹を枕もとへ呼んで、ゆうべの夢のことに就いて更に詮議すると、お年は確かに姉さんが白い蝶々になった夢をみたと云った。子供の夢ばなしなど、ふだんは殆ど問題にもならないのであるが、今のお北に取っては何かの意味ありげにも考えられた。彼女はなんだか薄気味悪くなって、この部屋のどこかに蝶の白い影が迷っているのでは無いかと、寝ながらに部屋の隅々を見まわした。