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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

「いらっしゃいまし。俄か天気でお暑くなりました」と、彼は丁寧に挨拶した。

「早速だが、わたしは神明前のさつきから教えられて来たのだが……」

「はい」と、亭主は半七の顔をじっと視た。

「こっちにさつきの娘のお浜さんが来ているだろうね」

「いいえ」

「芝口の三甚の若親分が来ているだろうね」

「いいえ」

「隠しちゃあいけねえ。神明前のお力さんから頼まれて、確かにここの家にあずかってある筈だが……。隠さねえで、教えておくんなせえ」

「おまえさんのお名前は……」

「わたしは神田三河町の半七という者だ」

「折角でございますが、手前方には誰も預かって居りませんので」

「ここは白井屋だろう」

「左様でございます」

「さつきの親類だろう」

「左様でございます」

「娘も三甚もここへは来ていねえと云うのだね」

「はい」

「いけねえな」と、半七も焦れ出した。「わたしも三甚と同商売で、お上の御用を聞いている者だ。三甚に少し話したい事があって来たのだから、早く逢わせてくんねえ」

亭主はまだ躊躇しているらしいので、半七は畳みかけて云った。

「おれが斯うして身分を明かしても、おめえは飽くまでも隠し立てをするのか。