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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁
唯ここに不思議なことは、金蔵は右の足に踏み抜きをして、それがだんだんに膿んで来て、ひと足も外へ出られないと云うのです。その金蔵がわたくしの名を騙って、植新へ押し掛けて行ったばかりか、びっこも引かずに逃げ廻っていたのは、どういうわけだか判らないが、ともかくも召捕れというので、わたくしが善八と松吉を連れて行くと、金蔵はまったく動かれないで寝ていたので、難なく引き挙げられました。こいつは伝馬町の牢屋をぬけ出して、まだ一丁も行かないうちに、折れ釘を踏んで右の足の裏を痛めたので、遠いところへ行くことが出来ない。ほかの者とは分かれわかれになって、京都無宿の藤吉に介抱されながら、ひとまず王子の門蔵の家へころげ込むと、その晩から踏み抜きの傷がひどく痛み出した。といって、表向きに医者を頼むわけにも行かないので、買い薬などをして塗っていたが、だんだんに膿んで来て身動きも出来なくなってしまったのです。したがって、金蔵は牢ぬけ以来、一度も表へ出たことは無いのです」
「それじゃあ高田へ行ったのは……。藤吉ですか」
「そうです、そうです。藤吉は牢内にいる時から金蔵と仲が良かったのです。