輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁
風はなかなか吹き止まないで、寺内の大きい欅の梢をひゅうひゅうと揺すって通ると、その高い枝にかかっている破れ紙鳶が怪しい音を立ててがさがさと鳴った。
強い風をよけながら、暗いなかに眼を配って、長三郎は坂の上まで登り切ると、とある屋敷の横町から提灯の火がゆらめいて来た。どこをどう廻って来たのか知らないが、火の番の藤助はここへ出て来たのである。彼は拍子木を鳴らしていなかったが、その提灯のひかりで長三郎は早くも彼を知った。
「おい、火の番。今夜はここらで蝶々の飛ぶのを見なかったかね」と、長三郎は近寄って声をかけた。
「おお、瓜生の若旦那ですか」と、藤助は少しく提灯をかざして、長三郎のすがたを透かし視た。「あなたは蝶々を探しておいでなさるんですか」
「おとといの晩、うちの姉さんがここらで白い蝶々を見たと云うから、わたしも今夜さがしに来たのだ。おまえも見たことがあるそうだね」
藤助はそれに答えないで、また訊いた。
「その蝶々をさがして、どうなさるんです」
「どうと云うことも無いが、その蝶々が何だかおかしいから、つかまえて見ようと思うのだ」
「つかまえて……どうなさるんです」