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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《智恵の一太郎(ちえのいちたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 頁
白と黒
汽車の早さと僕たちの歩く早さとでは、兎とカタツムリほどちがうといったが、音はその汽車よりもズッと早く、光はまたその音よりも何万倍も早いのだ。だから、世界一早い大砲のたまでも、世界一早い飛行機でも、それからロケットでも、光や電波にくらべると、カタツムリよりも、もっともっとのろいわけだね」
伯父さんのお話がおわった時、一太郎君はだまりこんでいました。そして、はてしも知れぬ秋の青空を見つめていますと、何ともいえぬふしぎな、科学のなつかしさというような気持が、からだ中にみちあふれて来るのが感じられるのでした。
白と黒
ゆうべ一晩雪が降って、今日はからりと晴れた日曜日です。
一太郎君は朝から近所の広っぱで、たくさんのお友だちといっしょに、大きな雪だるまをつくって遊びましたが、その帰りがけ、同級生の北川君と二人で、高橋さんのお家の前を通りかかりますと、門の中から二人を呼びとめる声がきこえました。
見ると、大学生の高橋さんが、両手に一枚ずつ、雑記帳ほどの大きさの紙を持って、門の中の雪の上にしゃがんでいるのです。
「高橋さん、お早う。何しているの」
一太郎君はたずねながら、北川君といっしょに門の中へはいって行きました。