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ダーク・ミニスター
暗黒公使
夢野 久作
線上閱讀夢野 久作《暗黒公使(ダーク・ミニスター)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 頁
私はそれを手早く拡げて、広告欄の下の方を見廻した。
「よろしい。今日横浜から出る船は桑港行きで午前十一時の紅海丸しかない。神戸行きの方はリオン丸と筑前が欧洲航路だが、これは長崎に寄るのだから、まだ大分時間がある。下関なし。敦賀なし。函館もなしと。よしよし。志免君は、すぐに横浜へ電話をかけて、紅海丸の乗客を出帆間際まで調査するように頼んでくれ給え。念のために電報を打っといた方がいいだろう。変装しているかも知れぬと注意しておき給え。十一時過ぎて何の返事もなかったら、神戸と下関と長崎と函館へ手を廻してくれ給え。それから先の方針は前の命令の復活だ。……僕はこれから弥左衛門町のカフェー・ユートピアへ行く。すこし疑問の点があるから……当りが付いたら電話をかけ給え。あとはこっちから役所へ電話をかける……それだけ……」
「承知しました」
「では行って来る」
「ちょっと……待って下さい」
今まで黙って聞いていた熱海検事は、出て行こうとする私を遠慮勝ちに呼び止めた。そうして氏一流の謹厳な態度で私の方へ近づいて来た。
「狭山さん。貴方のお考えは実に御尤も至極ですが、それに就てちょっとお伺いしたい事があります。