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つきのせかいたんけんき

月世界探険記

海野 十三

線上閱讀海野 十三《月世界探険記(つきのせかいたんけんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,351 字 · 29 頁

青空文庫

「ねえ、ミドリさん……」

「アラ、どうかなすって?」

ミドリは星座図の上に三角定規をパタリと置いて、艇長の顔を見上げた。

「どうも可笑しいんですよ。もう丸三日になるので、十二万キロは来ていなきゃならないのに、たいへん遅れているんです。始め試験をしたときのような全速度が出ないのです。よもや貴方の計算に間違いはないでしょうネ」

「いえ、計算は三つの方法ともチャンと合っていますわ。間違いなしよ」

「間違いなし。……するとこれは、何か別に重大なるわけがなければならんですなア」

そういって蜂谷艇長は腕をこまねいて考えに沈んだ。

「私の運転の下手くそ加減によるというんでしょう、ねえ艇長!」

猿田飛行士が、底の方からいやみらしい言葉を投げかけた。

「そうは思わないよ。黙っていたまえ君は……。おう、進君、やがて水を配る時間だ。第四の樽を開けて置いて呉れたまえ」

進少年は、通信機のそばを離れて、下に降りていった。床にポッカリと明いた穴に身体を入れて見えなくなったと思うと、それから間もなく、ワッという悲鳴と共に、一同を呼ぶ声が聞えてきた。

艇長は残りの二人を手で制して、ピストル片手に単身底穴に降りていったが、軈て激しい罵りの声と共に、見慣れない一人の青年の襟がみをとって上へ上って来た。