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ほんしゅうおうだん つうかいとほりょこう
本州横断 痛快徒歩旅行
井沢 衣水
線上閱讀井沢 衣水《本州横断 痛快徒歩旅行(ほんしゅうおうだん つうかいとほりょこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,069 字 · 29 頁
▲憤慨また憤慨
中の条から先の山路は歩かなければならぬのだそうだ。赤馬車は通じても、他の馬車で来たものはいくら中が空いておっても断じて乗せぬ。彼の田舎老爺もこの事を知らなかったため横暴なる赤馬車に虐められているのであるが、いかに山の中とはいえ、かくのごとき不親切極まる営業振りは聞捨てにならぬ。天下を旅行する多くの人のために、吾人は一日も早く草津行赤馬車の全滅を祈るものである。
▲憤慨また憤慨
脚下に轟々たる水声を聞き、雲に懸けたかと思わる、絶壁の中腹の危うき桟道を越えて行くことしばらくにして、右手に全山悉く岩石より成る山を見る。これ岩櫃山というて正平年間吾妻太郎行盛の城跡、巨巌重畳、断崖聳立、山中に古戦場あり、今日に及んでなお白骨の横わるものありという。河原の温泉を過ぎて吾妻川の峡谷を遡れば、前面に方りて何となく物凄き一大魔形の山が見える。これ吾妻の丸山といって、昔、羽根尾長門守の臣篠原玄蕃という剛の者、この山上に砦を構えしといい伝えられている。遠く望めば山の形恰かも円筒を立てたるがごとく、前面は直立せる千丈の絶壁、上部は鬱蒼として樹木生茂っている。一見薄気味の悪い魔形の山、お伽噺の中にある怪物の棲む山である。