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ほんしゅうおうだん つうかいとほりょこう
本州横断 痛快徒歩旅行
井沢 衣水
線上閱讀井沢 衣水《本州横断 痛快徒歩旅行(ほんしゅうおうだん つうかいとほりょこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,069 字 · 29 頁
▲薄気味悪き工夫殿
木川子の腰に細引を結び付けて、将軍が巌角に足を踏ん張り、大冒険を企てて、早速奔流落下の状を写し取った。案内の父爺に聞けば「これが赤川の大滝です。この辺は年に一回とも人が来ませんから、こんな大滝でも知ってる人は、山林局の御役人様位でがんす」。
▲薄気味悪き工夫殿
密林鬱乎として怪鳥梢に鳴く深山を行くこと二里余、初めて広々とした高原へ出た。ここから左方に高原の山が聳えて見える。右方の栗の古木は栗山ヘ続く林だということだ。維新以前、会津侯が江戸登城の折は四千余尺のこの山道を通られたということで、路傍の叢中には一基の古碑、その面に「右塩原あら湯道、左会津道」と刻されてあるのが蘚苔に覆われて読める。少し行くと古えの高原駅の跡がある。四十余年前までは高原の村はこの山上に在ったのだそうだ。廃駅の陣屋跡に、石垣の草に埋もれたのや、形の殆んど崩れてしまった石の地蔵尊が、尾花の中にボンヤリ立っているのも、人里離れたこの山上にはことに趣が深かった。
塩原から雇って来た強力殿の足の早いこと、凡そ五、六貫位の重荷であるが、平気でドンドン行く。鉄脚自慢の我々もゴシゴシ引張られて閉口した。