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おうかをよめるく
杉田久女随筆集
杉田 久女
線上閱讀杉田 久女《杉田久女随筆集(おうかをよめるく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,273 字 · 33 頁
逢坂の関ふきもどせ花の風 すて女
女とていかにあなどる花の風 簪
簪はたしか遊女だった様記憶する。女とていかにあなどるという所。圧迫されつづけた封建時代の、しかも特殊階級の籠の鳥たる日頃のうっぷんが此句に迸しっている。花風に裳をけ返しつつからかい気味の好き者共を尻目にかけ、柳眉をあげている、おきゃんな女性。女であるために二言目には「女なんか」と侮られ、軽く扱われるのは昔も今も変りはない。しかし簪の心境は別として此句は、花の風が比喩の様にもきこえ、又主観もろこつ過ぎて何等詩的な感興をひき起こさない。すて女の逢坂の関吹きもどせもほんの興味丈の浅い句風の様私は思う。
花の風なげひろげたる筵かな ひろ女
同じ花の風乍らこの近代句は、主観を弄さずただ光景を写生している。花かげに投げひろげた花見筵にも大地にもたまたま颯と花の風が吹きおろせば花片は吹雪の如く一しきりそこら一面をましろくなす。時には小つむじが起って落花をしきりにうずまき移るという様な光景である。昔の二句と比較してこの句の方が遙かに花の風というものを如実にうつし出している。
夜嵐や太閤様のさくら狩 その女