輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ますおとし
枡落し
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《枡落し(ますおとし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,765 字 · 67 頁
それからふと顔をあげて芳造を見、玉川在のおっ母さんはどうしているの、ときいた。
「知らねえな」と芳造は答えた、「知りたいとも思わない、もう一生、逢うこともないだろうさ」
ほぼ同じころ、猿屋町の家では、おみきが妙な男と話していた。――猿屋町は近くに天文台などのある、おちついたしもたや町で、まわりには大名屋敷や旗本の小屋敷があり、表通りでもあまり人の往来はなかった。これは御徒町の差配が、おみき親子のために選んでくれたもので、ここなら顔を知られた者に出会うこともあるまい、と差配の吉兵衛が云ったし、おみきもそうだろうと信じていた。今日はひるちょっと過ぎに、伊予巴の芳造が来て、中村座の木戸札を二枚貰ったからと、おうめを芝居見物にさそった。おみきは承知をし、おうめに支度をさせて出してやった。
――もうこの二人をさくことはできない、とおみきはまえから思っていた。人間のゆくすえは神ほとけにもわかるまい、実際に生きてみるほかはないのだ、かなしいけれど人間とはそういうものなのだ。
芳造が本当に芝居見物に伴れてゆくのか、それともほかに目的があるのか、どちらとも判断はつかなかった。