輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ますおとし

枡落し

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《枡落し(ますおとし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,765 字 · 67 頁

青空文庫

芳造はまた頷き、また頷いて、自分の足許を見た。

「尤もこれはおれの考えで、千太郎ってやつは、ことによるとまじめな男になっているかもしれねえ、そこのところはなんとも云えねえが、正直なところ、――いや、わからねえな、わからねえって云うよりしようがねえな」

芳造は口ごもりながらきいた、「――水天宮の近くの、佐野屋とかいいましたね」

「安宿だそうだ、たぶん木賃はたごのようなものだろう」

芳造は顔をあげて空を見、唇を噛みながら、片手でうしろ首を押えた。

「その、――」と芳造は考え考えながら云った、「その男に、おれが会ってみたらどうかと思うんだけれど、どうだろう親方」

「おれもいっしょにいこうか」

芳造は手を振った、「それにゃあ及ばねえ、おれ一人で充分ですよ」

「相手が相手だからな、あんまり高飛車に出ねえほうがいいぜ」

そうします、有難うと、芳造は云った。

彼はおうめ親子の家へは寄らず、そのまま日本橋かきがら町の水天宮へ向かった。なわやがよく呼び止めてくれた、そうでなければおばさんはなんにも云ってはくれなかったろう、と彼は思った。もしも生き証人がいて、あの人の無実だったことがわかり、牢から出て来るとしたら、おれにとってもお父っつぁんだ。