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うんせききこう

柳宗悦 民藝紀行

柳 宗悦

線上閱讀柳 宗悦《柳宗悦 民藝紀行(うんせききこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 頁

青空文庫

苗代川の黒物

一

一

何の因縁によるのか、ここでも上手の白物と下手の黒物とが対峙する。対峙するというより、むしろ白物のみが存在するという方がいいかもしれぬ。黒物の方は振り向く者がない。薩摩焼といえば、今は白陶器に定まっている。店に並べて窯の名を誇るのも、遠く海外に出て名を博したのも錦襴手のその白物である。近い鹿児島の街ですら黒物はほんのわずかよりしか扱わない。白釉の方は膚が柔かで色温く、誰もの嗜好に投じると見える。黒ではすまされず、白を追う心がここまで来たのだといえる。今ではそれが薩摩焼のほとんど凡てである。

だが薩摩焼はこれだけではない。今も七個の窯を擁して黒物が焼ける。ただ位が低くいずれも並の雑器であるから、これで苗代川を語る者はない。だがこの方が実は歴史が古い。今は三百余年の昔、文禄の役後、一と群の鮮人たちがつれられて来て、窯をこの苗代川に卜した。累代の墓碑が南に面して日光を浴みながら今も建っているから、ここが始めから定住の地だった事が分る。その最初の頃作ったものを「古薩摩」と呼んで珍重する。得難いその「古薩摩」は実はほとんど皆黒釉である。

歴史を振り向けば、窯は三段の経過を踏んだと思える。