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うんせききこう

柳宗悦 民藝紀行

柳 宗悦

線上閱讀柳 宗悦《柳宗悦 民藝紀行(うんせききこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 頁

青空文庫

こればかりは他の国々では見られない。

瓦の窯は浜田あたりから東へ海沿いに数多く続く。町を過ぎれば峠の左右は凡て窯場である。村があり人が住むというよりも窯があり瓦が働く江津、温泉津そうして大田に至るまでかかる窯は続く。いずれの窯も極めてみごとである。

山の傾斜面を利用して少くも十五、六、多くて二十四、五の室を有った登り窯を建てる。特に豪奢なのはその屋根である。瓦がお手のものだからである。階段をなして居並ぶ形は、それ自身に美しい建築である。日本に窯多しといえども、石見の窯の如く見て美しきものはない。とりわけ温泉津の如きせまい谿谷にそれが集る時、どのカメラも画筆も休んではいられまい。

だが石見のこれらの窯では赤瓦のみではない、大甕を焼き、捏鉢、すり鉢、べに鉢、片口、壺類を焼く。厖大な窯であるからそれも多量に焼く。なかんずく来待石を使った赤褐色の大甕が多い。不景気のためかどの広場にも山の如く積んである。よくもこれだけのものが生れると思うほどである。何にしても石見は焼物の石見である。

だが不思議にたえないことがある。どの町のどの唐津屋を覗いて見ても、石見のものはすくない、瀬戸、美濃、有田、信楽等と、他国のものが店を支配し家庭を支配する。