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けいまのげんそう
桂馬の幻想
線上閱讀坂口 安吾《桂馬の幻想(けいまのげんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,784 字 · 28 頁
「あこぎな附け馬だね。本当にセーターを持ってっちゃったよ。サイダーなんてものには酒ほどの人情もないらしいな」
「そうなんですよ。あの娘には、ちょッとフシギなところがあります」
「そうかねえ。物を知らない田舎娘ッて、あんなものじゃないかね」
「今の様子はそうですがね。一瞬間、ボクは幻を見ました。桂馬を見たんです。いえ、気のせいじゃない。ハッキリと見たんです。四五の桂です」
野村は返答の仕様がなかった。対局中神経がたかぶっているのだろうと思ったから、わざと話しかけもせず、肩を並べて黙々と宿へ戻ったのである。五時であった。木戸が中座してから一時間四五十分すぎていたのである。
木戸は座につくといきなり四五桂とはねた。ところが、これが悪手だったのである。彼の見落した妙手があったのだ。若輩に一時間四五十分も座を外されて津雲は立腹していたから、じっくり考えて妙手をあみだし形勢一変して有利となったが、これで若輩を仕止めたように気持がゆるんでしまったのである。夕食後は緩手を連発して自滅し、若輩に名をなさしめてしまったのである。
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「娘の顔に四五桂を見たとたんに絶対だと思ったんです。