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ももたろう

桃太郎

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《桃太郎(ももたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,420 字 · 9 頁

青空文庫

三

もし雉がとめなかったとすれば、猿は蟹の仇打ちを待たず、この時もう死んでいたかも知れない。しかし雉は犬をなだめながら猿に主従の道徳を教え、桃太郎の命に従えと云った。それでも猿は路ばたの木の上に犬の襲撃を避けた後だったから、容易に雉の言葉を聞き入れなかった。その猿をとうとう得心させたのは確かに桃太郎の手腕である。桃太郎は猿を見上げたまま、日の丸の扇を使い使いわざと冷かにいい放した。

「よしよし、では伴をするな。その代り鬼が島を征伐しても宝物は一つも分けてやらないぞ。」

欲の深い猿は円い眼をした。

「宝物? へええ、鬼が島には宝物があるのですか?」

「あるどころではない。何でも好きなものの振り出せる打出の小槌という宝物さえある。」

「ではその打出の小槌から、幾つもまた打出の小槌を振り出せば、一度に何でも手にはいる訣ですね。それは耳よりな話です。どうかわたしもつれて行って下さい。」

桃太郎はもう一度彼等を伴に、鬼が島征伐の途を急いだ。

三

鬼が島は絶海の孤島だった。が、世間の思っているように岩山ばかりだった訣ではない。実は椰子の聳えたり、極楽鳥の囀ったりする、美しい天然の楽土だった。