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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
線上閱讀橘 外男《橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇(いきふどう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 198,400 字 · 387 頁
ている、とぎすましたようなけだものの爛々たる目のかがやきと、その目を追ってヤッオウ! と気合いするどく稲妻のようにピカリピカリとひかる左近将監の刀のひらめきばかりだったのです。
生きたここちもなく、耳をおさえて土間にひれふしている一同の上に、およそこのつむじ風のようななりはためきは、どのくらいのあいだもつづいていたことでしょうか。やがて、
「おのれくせもの、思いしったか!」
と、ひときわたかい左近将監の叫びと同時に、たしかに手ごたえあったらしく、
「ギャオッ!」
というくせものの悲鳴もろとも、バリバリバリバリと羽目板か天井をかきむしるような音をさいごに、さしものすさまじいさわぎもしずまってしまいましたが、
「藤! あかりをつけい! 手燭をつけい! 権六、佐平治、早くあかりをつけい!」
と左近将監の声に、生きたここちもない一同、おそるおそる顔をもたげたときには、天井から屋根へかけて、ポッカリとあいた大穴のむこうから、星がキラキラと顔をのぞかせて、しかもふるえながら藤がつけたあんどんのまえへ、血のしたたった刀をつきだして、ためつすがめつ無念そうな左近将監のすがたが目についたばかりです。