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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 頁

青空文庫

そのうちに、小便所の掃除が終わったらしく、それにかかっていた四人のうちの三人が、とん狂な笑い声をたてながら、大便所の掃除をはじめ、あとの一人が、たたきに水を流しはじめた。で、次郎は、二つ目の大便所の掃除をおわると、すぐそこを去って講堂のほうに行った。大河とは、ついに言葉をかわさないままだったのである。

講堂では、掃除はもうあらかた終わって、机や椅子の整頓にとりかかるところだった。そこは、第一室と第二室の共同の受け持ちだったらしく、田川大作や青山敬太郎などの顔も見えていた。田川は、例のしゃがれた、激しい号令口調で、ほかの塾生たちをせきたてながら、自分でも椅子や机を運んで敏捷にたちはたらいていた。これに反して、青山の態度はきわめて冷静だった。かれは、田川の声には無頓着なように、並べられていく机の列をじっとにらんでは、そのみだれを正していた。――二人とも、それぞれに室長に選ばれていたのである。

次郎が入り口に立って様子をながめていると、

「もうここはだいたいすんだようですよ。」

と、みんなにきこえるような声で言いながら、教壇をおりてかれのほうに近づいて来た塾生があった。