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うたのえんじゃくするとき
歌の円寂する時
折口 信夫
線上閱讀折口 信夫《歌の円寂する時(うたのえんじゃくするとき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,623 字 · 28 頁
此は一見頗結構な事に似て、実は困った話なのである。文学の絶えざる源泉は古典である。だからどんな方法ででも、古典に近づく事は、文学者としてはわるい態度ではない。けれども、其も、断片知識の衒燿や、随筆的な気位の高い発表ばかりが多いのでは困る。唯の閑人の為事なら、どうでもよい。文学に携る人々がこれでは、其作物が固定する。白状すれば、私なども僭越ながら其発頭人の一人である。作物の上に長く煩いした学問の囚れから、やや逃げ道を見出したと思って、私のほっと息つく時に、若い人々の此態度を見るのである。けれども、此方面に於ける私の責任などは、極々軽微なものである。がらが大きいだけに影響も大きかった茂吉の負担すべきものは、実に重い。童馬漫語類の与えた影響は、よい様で居て極めてわるいものである。でも其はなぞる者がわるいので、茂吉のせいでは、ほんとうの処はないのである。
私は、気鋭の若人どもの間に行き渉って居る一種の固定した気持ち、語を換えて言えば、宗匠風な態度に、ぞっとさせられる。こうした人々の試みる短歌の批評が、分解批評や、統一のない啓蒙知識の誇示以上に出ないのは、尤である。