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うたのえんじゃくするとき
歌の円寂する時
折口 信夫
線上閱讀折口 信夫《歌の円寂する時(うたのえんじゃくするとき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,623 字 · 28 頁
将来の小曲が、短歌に則るべきだと言うのは、琉歌・なげぶし等の形から見ても見当がつく。日本の歌謡は、古代には、偶数句並列であったものが、飛鳥・藤原に於て、奇数句の排列となり、其が又平安朝に入って、段々偶数句並列になって、後世に及んだ。私は民謡として口誦せられた短歌形式は、終に二句並列の四行詩になったのだと思う。それで試みに、音数も短歌に近く、唯自由を旨とした四行詩を作って見た。そうしてそこに、短歌の行くべき道があるのを見出した様に考えている。
石原純は、更に開放的に、一行の語数の極めて不同な句の、四句・五句、時としては六句に及ぶ詩に於て、短歌の次の形を発生させようと試みて居る。私はその点に於て、臆病でもあり、古典に準拠もしている。さて、純ならびに私の作について感じ得たことは、口語律が、真の生きた命のままに用いられる喜びである。其から更に、近代生活をも、論理をも、叙事味の勝った気分に乗せて出すことが出来ることなのである。三十一字形の短歌は、おおよそは円寂の時に達している。祖先以来の久しい生活の伴奏者を失う前に、我々は出来るだけ味い尽して置きたい。或は残るかも知れないと思われるのは、芸術的の生命を失うた、旧派の短歌であろう。