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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《武装せる市街(ぶそうせるしがい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,959 字 · 234 頁
月給を貰っていなかった。幼年工のなかには、一番年下の、六歳になるものが七人もいた。その五人までは、十元か十二元で、永久に買いとられた者だった。そんな子供が、やせて、あばら骨が見えるような胸を、上衣をぬいで、懸命に、軸木を小函につめていた。マッチの小函を握りかねるような、小さい手をしていた。
腰掛の下にもう一ツ、台を置いて貰わないと、仕事台に、せいが届かなかった。
「俺等も、やっぱし、これぐらいな六ツか七ツの時から、仕事をしろ、仕事をしろと、親爺に叱られて育ってきたものだ。」と、夜中の一時頃に起きて仕事にかゝる、製麺屋の玉田は、幼時のことを考えていた。「しかし、俺等は、身体ぐち売られやしなかった!」
工人の多くは田舎の百姓上りだ。それが、百姓をやめて工人となっていた。百姓は、工人よりも、もっとみじめだった。
百姓は、各国の帝国主義に尻押しをされて、絶えまなく小競合を繰りかえす軍閥の苛斂誅求と、土匪や、敗残兵の掠奪に、いくら耕しても、いくら家畜をみずかっても、自分の所得となるものは、何一ツなかった。旱魃があった。雲霞のような蝗虫の発生があった。収穫はすべて武器を持った者に取りあげられてしまった。