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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《武装せる市街(ぶそうせるしがい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,959 字 · 234 頁
二四
二人の妹を睨んで、蹴とばすように呶鳴りつけた。「親爺と俺れがいないから、あんな奴が、のさばりこんでけつかるんだ! それが分らんのか!」
「呀! 呀!」
何も知らない一郎が、幹太郎の膝によってきた。
二四
塵埃ッぽい通りの一角に、露天商が拡げられた。
支那人は、通りと同様に、赤銅色に塵埃をあびていた。店が財産である。露店のうしろには、半分出来さしの支那家具ががらんとしていた。
青鼠の中山服の群れが通りかゝった。半信半疑で警戒を怠らなかった赤銅色の売手は、店をたゝむひまもなしに、忽ち、中山服に取りまかれた。わめき、罵詈、溺れるような死にものぐるいの手と脚のもがき、屋台の顛覆。……哄笑に腹を波打たして、中山服は散らばった。皿と笊にもられていた一ツの茹卵も、一と切れの豚肉の油煮も残っていなかった。
中山服は、街をとび/\して歩きながら、快活に口をもぐもぐさした。向う側の通りでは、カーキ服が、棘のある針金を引っぱって作業をつゞけていた。睨みあった。こちらが睨む。向うが睨む。石が飛んだ。
その時、西はずれの、三倍の抵抗力にやり直した堅固な土嚢塁に、はゞまれた細い通りで、一人の支那人をつれた日本人が、着剣の歩哨に咎められていた。