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じゅんし

殉死

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《殉死(じゅんし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,737 字 · 21 頁

青空文庫

そして間もなく小屋が建つと庄兵衛は案外すなおにそこで夜をすごすようになった。

三月の末に役々の任免があった、当時どこの藩でも家臣の職はほとんど世襲になりつつあったが、代替りには多少の更迭はまぬかれない、そのときも重だった役には変りはなかったが、二三異動のあったうち八島主馬が国詰めお側用人にぬかれたことは家中の人々をおどろかした。主馬の父は江戸家老であるし、俊敏な才分も衆目のみとめるところで、将来老職となるべき人物という点では、その抜擢もさして不当ではないのである。けれども一方に福尾庄兵衛のことがあり、それと対照して家中の評判がきわめて悪いおりからだったので、人々がおどろいたのも無理ではなかった。――だがまさか主馬はお受けはすまい。――それよりもおそらく江戸へ帰任を願うだろう。そう思う者が多かった。しかし主馬は辞退しなかった。お達のあった日から城にあがってその職に就いた。むしろ壮快なほど、きっぱりと割り切ったかれの態度に、かえって人々が威圧をさえ感じはじめたとき、式部少輔長吉の新しい政治が活溌にうごきだした。その中心はいままであまりかえりみられていなかった農業の振興にあった、耕地の整理や用水路の改廃が計画された。