輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
線上閱讀岡本 かの子《母子叙情(ぼしじょじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 77,355 字 · 153 頁
K・S氏は往来を眺め見渡しながら、
「イチロも日本に居るときは、始終ここを散歩したのですね」と云った。かの女はむす子が一緒だったらどんなに楽しかろうと思って見るのだが、客を疎外するように取られる懸念から口に出しては云わなかった。
展覧会場の交渉、刊行物や美術団体への紹介、作品の売約口など闊達の勢いで取り計った。逸作に云わすと、画家が作品を携帯している以上、これを発表し度いのは山々のことであり、出来るだけ売って金を作ってやることは、旅中の画家に対して一番親切な仕方であるというのである。逸作は、ふだん放漫で磊落なように見えるが、処世上の経済手段は、臆病と思えるほど消極的で手堅く、画なども自分から売ったことがない。その点で美術関係の諸方面にかなり信用が蓄積されていた。そういう下地がある上に、彼は一旦物事を遣り出すと、その成績に冴えて凄味が出るほど徹底した。
そんなことでK・S氏の作品展覧会は、逸作の奔走により、来着後数日ならずして、市中の最も枢要な場所に在るデパートに小ぢんまりした部屋を急造させて賑やかに開催された。
「こんな性急なことは、巴里のどんな有力な画家でも出来ないことです。