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ひかくしんわがく
比較神話学
高木 敏雄
線上閱讀高木 敏雄《比較神話学(ひかくしんわがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 177,624 字 · 348 頁
尊怪しみて、其故を問えば、答えて曰く、我もと八人の女あり。年毎に一人ずつ、大蛇の犠牲となり、今残れる此最後の者も将さに取られんとすと。素盞嗚尊問うて曰く、吾は天照太神の弟なり。汝その女櫛名田比売を、吾妻として与うるを許すやと。翁命のままに従う可きを答う。是に於て、素盞嗚尊謀を用いて、かの大蛇を誅戮し、女を得て妻としたり。此説話はもとより、一個の怪物退治説話なるも前に述べたる他の例語に比して、大に異る所あり。特に注意す可き、三個の要点あり。怪物の犠牲を求むること、犠牲となりし少女の、救われしこと、救われし少女の、英雄の妻となること、此三個の要点は大蛇誅戮説話の骨子なり。
英雄の怪物を退治して、犠牲に供せられし、少女の難を救うということ、今日の日本民間説話にも、その例あり。『今昔物語』飛騨国の男、邪神を退治する条に見ゆる説話は、出雲神話の大蛇誅戮説話と、殆んど全く同一なり。唯怪物が大蛇に非ずして、猿なると、英雄と少女との結婚が、怪物退治の後に非ずして、その前にあるとの差あるのみ。出雲説話が、この説話の本源たること、殆んど疑いを容れず。人身供犠の一事は、太古の風習の一として、之を解釈す可く、現今の未開民族中尚この風習を有するものあり、何れの文化民族も、嘗て一度び此恐ろしき風習を、有せざりしは無し。