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ひかくしんわがく

比較神話学

高木 敏雄

線上閱讀高木 敏雄《比較神話学(ひかくしんわがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 177,624 字 · 348 頁

青空文庫

此の如きこと、殆んど十年の久しきに及べり。

明治三十二年の春に至りて、故高山樗牛の筆に成れる日本神話に関する、一個の小論文、突如として『中央公論』に出でたり。同じ年の夏、姉崎嘲風『帝国文学』紙上に於て、素盞嗚尊の神話を論じて、併せて樗牛の論文を評す。同じ年の冬、嘲風の論文中の一個の問題に関して、著者の手に成れる、一個の論文同じ雑誌に出で、翌年に至りて、之に対する嘲風の弁駁と、これに対する著者の答弁と、同じ紙上に出でたり。此の如きのみ。一般批評家は、之に対して、甚だ冷淡なりき。其後今日に至るまで、『帝国文学』紙上に於て、引続き公にせられたる、神話学上の種々の問題に関する、著者の手に成れる多くの論文を外にしては、五十個月の間、未だ一人の神話学に関して、議論せしものあるを聞かず。されば、心ある少数の者を外にして、一般読書社会が、今日に於ても尚、神話学の何物たるやを解せず、その性質と職掌とに関して、殆ど何等の概念をも有せざるは、蓋し怪しむに足らざるなり。或人著者に問うて曰く、何が故に神話学を研究するや、何の必要ありて、神話に関して、議論するや、神話学は果して如何なる効用ありやと。