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みずとりてい

水鳥亭

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《水鳥亭(みずとりてい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,705 字 · 62 頁

青空文庫

サラリーは時の公定価格で、教員よりは良かっただけである。

野口は親切であったが、キンチャクの紐をゆるめない男であった。そして彼が使用人たちに敬語で話しかけるのはケチンボーをおぎのうためだと言われても仕方がない程度にケチンボーであった。彼は亮作に産報のビールの券や、食券などを与えたが、飲食するには亮作が金を支払わねばならない性質のものであった。人々は(亮作も)それを野口のケチンボーのせいにしたが、そうしないよりは親切であったに相違ない。

克子の言葉が正しいことを亮作は知っていたのである。野口は日曜ごとに別荘の畑のものやイワシなどを持参してくれて、なんでもないことのように置いていったが、会社での午休みのひとときなどに、伊東ですら、一匹のイワシを手に入れることが、すでにどれほど困難であるか、さりげなく言うのであった。

一度や二度は我慢ができた。しかし、黙っていれば、おそらく毎日くりかえすだろう。

「エンジンのついた船はですね。それが焼玉エンジンですよ。みんな輸送船に徴用されています。若い漁師は戦争に持ってかれ、年寄まで船と一しょに徴用ですよ。それで千人食べられるだけイワシがとれたらフシギですよ」