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ひょうがきのかいじん

氷河期の怪人

海野 十三

線上閱讀海野 十三《氷河期の怪人(ひょうがきのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,321 字 · 15 頁

青空文庫

さっきまでは高度八千のところを指していたのが、八千五百になり、九千になり、そしてまだその上になっていく。しゅうしゅうと、酸素が室内へおくられはじめた。おしよせる雲のうえに、うまく出られればいいが……。

しかし、ついにいやな運命がやってきた。

「先生、エンジンの音がへんですね。そう思いませんか」

ヤヨイ号には、四つの発動機がついて、さっきまでは、ゴーンゴーンとこころよい響をだしていたのが、ここへ来て、急に調子がわるくなって、ときに、するするッととまる。それからしばらくして、またぶるぶるンとまわるのであった。寒冷のため、エンジンがどうかしたのだ。

雲は、いつしか機のまわりをとりかこんでいた。そして視界は、すっかりとじられてしまった。

「これはいかん。山にぶつからなければいいが……」

と、ひごろおちついた木谷博士が、しんぱいそうに席から腰をあげた。そのしゅんかん、機は、ものすごい音をたてた。そして人々は、あっという間に、てんじょうにほうりあげられた。

「墜落だ。早く機から外へ出ろ……」

道彦の耳に、だれかの声がはいったが、彼は、その後のことをよくおぼえていない。