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えどまえのつり

江戸前の釣り

三遊亭 金馬

線上閱讀三遊亭 金馬《江戸前の釣り(えどまえのつり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,910 字 · 214 頁

青空文庫

近くで鳴かれるとうるさいくらいで、「行々子」とはよくいったものだ。この鳥も、山谷堀あたりの葦のうちでは、「吉原雀」という風流な名まえをちょうだいしているということだが。

持って行った藻刈り鎌で五、六ヵ所穴をあけ、釣り場をこしらえて一ぷくする。キジ(ミミズ)を針いっぱいに切って針先を出して刺し、竿のしたくをして二、三本並べるうちに、もう先の竿にあたりがある。

水から一寸ぐらい沈んだ白の玉ウキが水面へポックリ顔を出す。あ、また沈んだ。今度は横へ持っていく。まだ餌は食っていない。両手で持って、どこへいって食おうかと迷っている。うかつなところで食っていると、自分より強いヤツに餌をとられる。せっかくみつけた餌を、他人ではない、他エビにとられてなるものかと、用心深く持ってまわっていたのが、やっととまった。

この釣りばかりは、針合わせをしては釣れない。三本指で竿を軽く持って、できるだけ静かにきいてみると、手長特有のあのあたり。ツンツンツンとくる。このとき竿先が強かったり、力を入れて竿尻を持っているとはなしてしまう。エビと人間の知恵くらべ、まるで重病人をさする手加減で息もつけない。