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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《江戸情話集(かごつるべ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,779 字 · 407 頁
きっと嘘に相違ないのよ」
嘘という字を幾つも列べて、お君はおどおどしながらも一生懸命にお絹をなだめようとすると、お絹は解けかかった水色の細紐を長く曳きながら、上がり框へくずれるように腰をおとした。
「寝衣のまんまでこんなところにいると悪いわ。早く内へおはいんなさいよ」
台所から雑巾を持って来て、お君はお絹の足を綺麗に拭いてやって、六畳の寝所の方へいたわりながら連れ込んだ。お絹は枕を抱えるようにして蒲団の上に俯伏したが、その痩せた肩に大きい波を打っているのを、お君は不安らしく眺めていた。
「さっきのお薬をあげましょうか」
「いいよ、いいよ。あたしに構わずに寝ておしまいよ」と、お絹はうるさそうに俯向きながら言った。
お君は起って格子を閉めに行ったが、やがて引っ返して来てお絹の枕もとに坐った。縁の下でじいじいと刻んでゆくような虫の声が又もや耳についた。どこかの隙き間から忍び込んで来る夜の冷たい風に、行燈のうす紅い灯が微かにちろちろと揺らめいて、痩せおとろえた秋の蚊がその火影に迷っていた。
「もうお前、お寝よ。あしたの朝、眠いから」
「あたし、今夜は起きていますわ」